私の職業奉仕(鹿児島SWRC・田中 応征)

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氏名:田中 応征

私は、ロータリーに入会して今年で10年目を迎えました。職業分類は、学校教材・書籍の販売です。小学校から大学まで、教科書を始めとする図書教材を納めています。

私にとって幸運だったことは、入会3年目に職業奉仕委員長を経験したことです。

なぜなら、委員長という責任から、職業奉仕について否応なしに学ばねばならない状況に置かれたからです。その間、多くの方々の講演や諸先輩方の意見を聞き、様々な文献や資料を読みました。そして、私なりに理解したことは、『ロータリーの根幹は職業奉仕である』ということでした。

2012年11月に鹿児島で開催された地区大会の中のRI研修セッションで、職業奉仕研究の第一人者であるお二人のロータリアンの講演を聞くという、またとない機会がありました。その中で、深川純一PGは「職業も奉仕も同じエネルギー。それは、世の為人の為という倫理観に基づいている」とおっしゃり、田中毅PGは、経営学の側面から職業奉仕を論理的に考察されました。

また、2012~13年度のRI会長田中作次氏は、「事業を成功させるには、顧客の満足を追求する以外にない」と言い切っておられますし、2013~14年度の2730地区大迫三郎ガバナーは、自身の人生の行動規範“ミッション・パッション・ビジョン”の中で、「職業奉仕を通じて、社会に貢献し人格を高める」と述べておられます。

このように、職業奉仕は様々な立場から論じられていますが、それぞれが、ロータリアンとして立派に職業を実践していることに変わりはないはずです。私も、私の思いに従って、自分の職業にまい進したいと思います。

では、職業に対する私の思いとは何か。それは、『誠実な心を持ち、人の役に立つことを自分の喜びとする』ことです。そして、その思いを維持し、私を職業奉仕に突き動かす原動力となるもの、それは、「自分の仕事が好きか? 誇りを持てるか?」なのです。

今、私は自分の仕事が好きです。誇りを持っています。でも、以前の私は違いました。今とは正反対でした。今の仕事は、父が始めたものです。いわゆる家業です。両親の姿を見て育った私は、この仕事は私には向いていないと思っていました。一方、私には夢がありました。それは、エンジニアになることでした。そのため、大学へ進み、工学の勉強をしました。念願かなって、希望のメーカーに入社し、憧れの仕事に就くことができました。しかし、充実した日々も10年足らずで転機を迎えます。父の健康上の理由で、帰郷を迫られたのです。元々は零細な家業です。それでも、従業員を抱えていたため、私に選択の余地はありませんでした。そして、私が32歳の時、私と家族の生活は180度変わりました。

元々、向いていないと思っていた営業の仕事です。苦手意識を引きずったまま、職場に向かう毎日でした。その気持ちは従業員に影響しました。結果、業績は下がっていきました。落ちた売上を挽回しようと、別の事業にも手を出しましたが、この様な状況で上手く行くはずもありません。会社はいよいよ窮地に追い込まれました。

しかし、神様はいたのです。多くの方々に支えられる中、ある人が掛けて下さったある言葉との出会いで、私の状況は一変しました。その人は私にこう言いました。「国を創るのは人、人を創るのは教育、その教育の基本は書物です」と。初めて、自分の仕事が、未来を創る青少年の役に立っていると気付かされました。それまで、私の前に重く立ち込めていた黒い雲がどこかへ消え去り、視界が一気に開けた瞬間でした。

それからと言うもの、辛いと思っていた仕事が、俄然面白くなってきました。自分の気持ちが前向きになっていました。そして同時に、営業に対する考え方が変わってきました。今まで苦手と思っていたことが、逆に強みになることに気付いたのです。営業とは、面白おかしい話しをして相手の関心を引くことだけではない、相手の話をしっかりと聞き、正確な情報を提供し、約束した納期を守る等々、当たり前のことを当たり前にすることが絶対なのです。それは、人としての誠実さに他なりません。

私の仕事は、この思いを全ての社員に伝え、共有することです。世間にあるどんな社員教育のプログラムより、効果のあるものだと思います。

 今、少しずつ、私の思いが伝わりつつあると感じています。そして、これからの我が社がどうなっていくのか、今からとても楽しみです。