私の職業奉仕(きもつきRC久木山 元成)

所属クラブ:

氏名:久木山 元成

私ども(株)サクラクレパス鹿児島工場の親会社は皆さんご存知の絵の具、クレパスでおなじみの総合文具メーカーの(株)サクラクレパスで創業95年の会社です。 鹿児島工場の事業内容はその筆記具の製造を担当し、今年創業45年を迎えます。 その創業時の背景には昭和46年に鹿児島県肝属郡の吾平町の過疎対策と親会社の高度成長期での求人対策による誘致と言うものがありました。 そして、60名の従業員で年間売上は約40百万円でスタートしています。

私はその8年後に鹿児島工場に入社しましたが、当時は昭和48年からの「第一次オイルショック」による不況の影響もあり従業員数は30名まで減少していました。 そこで、それまでの手作業中心の生産体制から生産性アップのため機械化による生産体制に変革していくことになります。 それにより昭和55年には30名の従業員で年間売上は215百万円となりました。

昭和58年には全国的に最初の水性マーキングペンのJIS表示許可工場となり更なる品質管理体制向上の基礎が出来ました。 そして、徐々に工場規模を拡大し、平成6年 JIS工場としての管理体制を評価され九州通産局長賞を受賞しています。  平成16年 本社生産体制の見直しで再び大規模な工場増設を行い兵庫工場よりインキ製造工程等を移設しインキ製品製造の中核工場となりました。

当時を振り返って見ると鹿児島工場はまだまだモノ作りということでは大阪工場に遅れをとり、地域経済も高度経済成長の日本の中で取り残された状態でした。 当然、鹿児島工場も機械化は成されてはいなく、大阪工場に比べ人件費コストの安いだけの工場でした。 当時オイルショックという経済環境の激変に遭遇し、鹿児島工場でも対応策として減量経営や、新しいニーズに対応した新技術、新製品開発に取り組む必要がありました。 手作業だけの仕事をしていた鹿児島工場の従業員に大阪工場の品質管理・コスト管理・納期管理のレベルを目標に欠点をなくしていこうとするZD運動をスタートさせ、その後、品質改善の小集団(QCサークル)活動を導入しました。 大量の機械を搬入し工場の拡大も実施していきました。 これにより鹿児島工場は大阪と肩を並べる業績を上げるようになり、大阪のレベルに到達していきました。

平成20年SO14001 平成25年 ISO9001の認証取得をし、更なる地域社会への環境管理の向上と更なる品質管理体制の向上を図りました。 それらにより平成27年には110名の従業員で年間売上21億円を超える内容となりました。

平成28年 鹿屋市との間で立地協定を締結し、国内外の需要の高まり、競争力の強化を図ることや、更なる生産量の増加及び品質の向上を図り地域における新たな雇用の創出はもとより、地域経済の活性化に一層貢献するものと考え今後更なる飛躍をめざし努力しています。

 これまでの工場運営で私が心がけている経営理念は次の3つがあります。

①親会社の社是冒頭の「企業は永遠である」と言う理念を堅持すること。

②同じく経営方針 <積極的堅実経営> <最高品質> <共存共栄>を尊守すること。

③遠隔地の不利を克服し現在求められる筆記具を中心とした高効率で量産型生産工場となること。

 この理念のもとで当地域の在住者である工場従業員と共に事業展開をしています。

 ロータリークラブに入会し17年がたちますが、「ロータリーの目的」「四つのテスト」「職業宣言」によりロータリアンの皆様との意見交換等をしていく中で私なりに今の考えをまとめてみます。

<従業員を、単なる社員として見るのではなく、ともに会社を経営していくパートナーとして利害関係を超えた関係を築く。 経営者として心から感動できるような、心と心で結ばれた人間関係を作っていくことに努める。 そして、会社を発展させ従業員を幸せにしていく。 それは、従業員の誰よりも懸命に努力し、従業員をねぎらう自己犠牲の姿勢が必要だ。>

<各々の部門ごとに『公』のためという大義名分を持ち、利益追求のためではなく、大義名分を果たすために経営者として叱咤することで従業員のモチベーションを高く保つ。>

<我々リーダーに必要なものは「ヴィジョン」、「ミッション」、「人格」である。>

<経営者が素晴らしい人格、人間性を身に着けていなければ社員は決して一緒に苦労を共にしてくれない。 『企業は人なり。』>

このように曖昧に自分の根底にあるものを明文化して会社の中に徹底して浸透させていくというのは、思っているより大変です。 これから先、職業奉仕を行う上で、こうした強固な理念、そして自己犠牲の精神を持って周囲に奉仕していくということを忘れず、地道に努力を続けていきたいと思っています。