私の職業奉仕(鹿児島SWRC・髙岡 茂)

所属クラブ:

氏名:髙岡 茂

◯現在の社会を巡る状況

  1990年代から日本は世界でも唯一経済成長のない国、働く人の賃金の上がらない国になってしまった。資本金10億以上の大きな企業だけにお金が蓄積され、400兆円を超え、一方、働く人の間で非正規雇用の比率が3割を超え、広がる経済格差のもと人間として生きる価値、生きがいが失われ、もうけ第一主義との矛盾に悩まされ、生きがいを求めもがき苦しむ姿が多く見られるようになっている。人と人との関係が希薄となり、重い犯罪が増え、殺伐とした社会となっている。人を人として尊重しない「ブラック」企業が社会問題となってきている。特に若い世代の人たちには重くのしかかる。

 ◯医療への営利企業の参入

  医療機関の経営に営利企業が参入することの是非についての議論がある。営利企業のサービス提供やマネッジメントを導入することの利点を説く人も多い。確かにそうだ。しかし、本当にそれでいいのか?

  私たち医療従事者は患者さんに対して「私たちの知識や技術を生かす機会を得ることができて本当にありがとうございます。」とお礼をいう。患者さんからも健康を取り戻すことができてありがたいとお礼を言っていただく。しかし、営利企業が医療を行うのであれば、正確に「病気になってもうけさせていただきありがとうございます」もしくは「病気になってありがとうございます。おかげでもうかりました」と正直に言うべきであろう。

  しかし、もし本当に正直にそう言えるのであれば、逆に医療従事者としての資格はない。そんなことが拡大していけば人間社会は崩壊していくであろう。

社会活動の中で、医療、介護、教育、福祉、年金などの社会保障の分野はすべて本来、そういう金儲けとは異なる分野であると考える。もちろん、事業継続のための利益獲得は必要であり、利益の分配を禁止する非営利の基準で考えて経営する、営利と非営利の分野のバランスを適正に継続することが必要である。

◯ロータリーの掲げる価値観

  ひるがえってわがロータリーの掲げる価値感・理念とは何か。職業奉仕の中でうたわれる社会への奉仕、人格形成、公平さの追求など・・。現在の社会で必要とされることが凝集されているではないか。人間として今を生きることの喜びは金儲けだけでない。人に尽くす、人と協力して何かを成し遂げる、喜びをともにする、悲しみを共感しなぐさめ合うなど。すばらしいことでお金には換えることのできない。

◯現代の社会においてロータリーの果たす役割

 今の社会でこの価値観を広め、人間社会の尊さをとりもどす使命は大きいと考える。とりわけ価値観を失って苦しんでいる若い世代には最優先でプレゼントしたい贈り物である。

 しかも、これからの社会の進歩、広がり、問題の多様化、国際化、グローバル化。一方で格差と貧困、テロ、戦争時代への逆行などの地球規模化の中で、常に新しい価値を創造し、次々に起こる問題への対案や解決策として示していくことは必要である。

 日々の職業生活、家庭生活、日常生活の中で新鮮に感動し、「新しい富」を創造することがロータリアンとして求められると思う。ともにロータリアンとして使命感を持ち、力強く生きていこう!