私の職業奉仕(鹿児島南RC・日高 文治)

所属クラブ:

氏名:日高 文治

会社の概要からご説明します。社名は株式会社ネットウェーブ。業務内容は、住宅・不動産情報紙「RENET」の発行、Web業務全般、印刷全般、広告代理、ポスティング業務などです。主力の「RENET」は毎週、鹿児島市内で20万部余りを発行、他社から依頼を受けたチラシと一緒に住宅に配布、つまりポスティングしています。

職業奉仕とは何か。大重ガバナーは「職業に奉仕する」とすると分かりやすいと言われます。基本的に反社会的でなければ、どんな職業、事業も社会の役に立っている事実がある。ことさらそれを職業奉仕と呼ぶことに意味があるとすれば、ロータリーの「四つのテスト」を実践しているか。職業、事業への向き合い方の問題かと思う。

その視点から、ポスティングに関係する部分です。チラシ類の取扱量は毎週90万枚前後、130万枚を超えることもあります。業務の流れは、①チラシなどの印刷物の搬入 ②配布しやすいように一定サイズ以上を折り ③チラシの種類を合わせる(地域ごとにチラシの種類、数量が違う) ④配布員別に仕分け、束ねる ⑤仕分けられた束を配布員宅に届ける ⑥ポスティングする ⑦配布終了報告、となります。

折り・仕分けに10人前後、配布員宅に届ける業務に16人、ポスティングに約400人の方々が働いています。この中には高齢者や障害者など様々な事情の人たちがいますが、私が意識して努めていることがあります。それは合理化や効率一辺倒でなく、可能な限り、働く人々に喜んでもらえる状況、雇用を維持し続けることです。

折り・仕分けの業務には70歳前後の方々が就いていて、週に3~4日ほど、それぞれバイクやバス、自家用車で集まり、嬉々として一生懸命に作業しています。昼休みや休憩時間には他愛もないことで話が弾みます。生き生きとしたその姿を見ると、こちらが自然に嬉しくなります。

ある時、折り・仕分けの業務を担当している70才過ぎの女性が、私を見つけて「時給は上げてもらわなくてもいいですから、仕事を取り上げないでくださいね」と、わざわざ告げに来たことがありました。チラシ折りの作業は機械の方が人力の数十倍速く、コスト的にもメリットです。これまでは雇用に考慮して1台に抑えてきましたが、このところチラシの取扱量が増えてきて、いよいよ処理が困難になり、働く人の負担も過重なことから、悩んだ末2台目を導入しました。

ポスティング業務にも様々な人たちが就いています。知人から雇用の依頼を受けた40歳代の引きこもりの男性は、数か月勤めて自信を取り戻し、社会復帰していきました。言葉の壁でいろいろな職場を経験しながら、うまくいかなかった帰国子女の中国人女性は、普通の人の4~5倍の仕事をこなして、頑張っています。またNPO法人自立支援センター鹿児島・就労支援機構・県授産施設協議会などの施設の障害者の方々が職員と一緒に配布をしているケースもあります。

私は、こうした人たちに助けられながら事業を行っていることに感謝しています。これからは高齢化や人手不足が急速に進み、ますます機械化による合理化はやむを得ない状況にありますが、雇用の継続と働き方の工夫に可能な限り配慮し、社会への責任の一端を果たす覚悟です。