私の職業奉仕(鹿児島中央RC・田中 和俊)

所属クラブ:

氏名:田中 和俊

 今年度の我がクラブでの職業奉仕フォーラムで、職業奉仕とはなにかについて考えてみました。大重ガバナーのアドレスを引用させていただくと、職業奉仕とは「社会奉仕が社会への奉仕であるように、職業への奉仕であり、職業を通じての奉仕ではない」ということであります。一生懸命働いて、社会貢献するだけでは、職業奉仕とは言えないことになります。では職業奉仕とは何か?そのあたりを考えてみます。

 アーサー・フレデリック・シュエルドンの「最も多く奉仕する者、最も多く報われる」は、利益を優先するのではなく、自分の職業を通じて社会に奉仕することを第一義に考えて企業経営をすることが、結果として継続的に利益を得ることにつながるという教えであると思います。

 具体的には、職業を通じて提供するサービス(または品物や技術)の質が高く、それを適正な価格で提供し、経営者や従業員のお客様に対する接客態度も良く、十分な品ぞろえをし、取り扱う商品に対する知識も豊富で、アフターサービスもしっかりとしていて、提供したものに対して最後まで責任を持つこと。これが本当の職業奉仕ではないでしょうか。職業奉仕を実践することで、自然と企業は顧客から信頼を得て、事業はさらに発展し継続的に安定するのです。私も司法書士という職業に誇りを持ち、日々の法律の勉強はもちろん、実務に即した研究を続けていますし、報酬についても自由化されていますが、以前からの報酬基準に則して適正な報酬をいただくことをいつも念頭に置いています。決して広告などはせず、完了した仕事に対して信頼いただいたお客様からの継続的なご依頼やご紹介で成り立っております。

 また利益の適正な再分配も大切なことであります。私たちがロータリアンの身分を保っていられるのも、ロータリーの会合に出られるのも、ひとえに自分の事業がうまくいっているからであります。これは事業主の力量だけでなく、従業員、お取引業者、下請け業者、顧客、さらには同業者のおかげでもあります。事業で得た利益は事業主が独り占めするのではなく、事業に関係する人たちと適正にシェアしながら事業を進めていけば、必ずその事業は発展していくのです。そしてそのノウハウは同業者にも公開します。司法書士会の研修会の講師はもちろん、同業者からの問い合わせにも快く応じております。そうして業界全体の倫理観が向上していくのが理想の姿ではないでしょうか。

 もちろん現代は自由競争社会ですので、同業者間は商売においてはライバルでもあります。しかしながら、良質な商人は、顧客に対して絶対的な責任を負いますから、決して商品の質を落とすことはしません。これは職業倫理でもあります。自分の能力を超える注文依頼に対しては、他の同業者からお求めくださいということになりますし、これは同業共存共栄の倫理でもあります。仕事が重なれば同業者をご紹介しますし、遠方の依頼者については、状況に応じてお客様のお近くの同業者をご紹介したり、案件によっては弁護士、税理士等の他士業をご案内したりして、受託の方法についても工夫しております。こうした職業奉仕を実践することで、自由競争社会でもロータリアンは生き抜くことができます。よって職業奉仕実践の受益者はロータリアン本人であるということになるのではないでしょうか。私も職業奉仕の実践により、多くの素晴らしいお取引先、依頼者に恵まれていると思っております。