私の職業奉仕(ロータリーEクラブ2730ジャパンカレント・柴田 伸久)

所属クラブ:

氏名:柴田 伸久

 私は、福岡の高専・大学の電気工学科を卒業後、現在の会社に入社し、すぐに川内市の事業所の制御係に配属されました。
 制御係では、発電所の制御設備の保守点検業務に携わり、マイプラント意識(この発電所は私が守るという気持ち)をもって日々汗を流していました。
 
 川内という土地にも慣れ、ローターアクトの活動も経験し、事業所の中でも中堅社員となった11年目の春、突然、労働組合の役員をやってみないかとのお誘いを受けました。
 福岡に戻れることと未知の仕事にチャレンジしてみたいとの好奇心によって、労働組合役員の任務を引き受け、家族で福岡に帰ってきてから4年間の任期を全うさせていただきました。この間は会社は休業とさせていただき役員業務のみに専念させていただきました。
 
役員の任期満了後、会社への戻り先として、過去所属していた部門や電気制御の技術経験を活かせる部署などいくつかの選択肢があったのですが、心の底にあったパイオニア精神が沸いてきて「どうせなら全く新しい部門を経験してみたい」という希望を出させていただいたところ、現在所属している「総務部」に配属することになりました。
 そもそも総務部には技術系の社員はほとんどおらず、「事務職の聖域」とまで揶揄されるような部署でもあり、会社業務ではチェックシートと工具を持って現場を駆けずり回ることしかやったことがない私にとっては、新鮮どころか全く違う会社に来たような感覚でした。そんな感覚なので、入社15年目にして新入社員のような働きしかできず、一回り以上も離れた後輩に教えを請いながら、まわりの方々に毎日迷惑をかけつつ、一つ一つ事務職の仕事を覚えていきました。
 
 わが社の総務部という部署はいわゆる「何でも屋」みたいなところがあり、各所からいろんな相談の電話がかかってきます。当然私もその電話の応対をするのですが、新人事務屋では答えるどころか話の内容を理解するのも精一杯でした。「分からないので他の人に」と投げてしまえば楽なのでしょうが、電話の相手も困っている様子だったので、一旦すべてを受け止めて自分なりに調べてから折り返し回答するようにしました。
 電話での相談は総務の管轄以外のことも多く、経理や労務に関することなど他部署に聞かないと分からない場合も多々あり、他の総務部員の中には「それは経理グループです」とスパッと投げ返す方もおられました。
 ただ私は、違う部署の件に関しても内容を受け止め、担当の部署の方に自分で聞いて整理をしたうえで電話してこられた方に答えを返すように心掛け続けました。また、本店内の方の相談であればその人に会いに行き、できる限りフェイストゥフェイスのコミュニケーションを行うように努めました。
 なぜならば、私にとってのお客さんは、いろいろと相談にやってくる「社員」の皆さんだと思っていたからです。さらに言うと、「私が社員の皆さんの困りごとを解決することによって、その社員の方が気持ちよく本来の仕事に取り組むことができるようになる」この好循環こそが、会社の発展につながっていくと考えていたからです。
 
 総務部1年目の時から、事務系4年目の若手社員の研修の講師を努めさせていただきました。
 私は、その研修の中で受講生に「あなたのお客さんは誰ですか?」という質問を必ずします。若手社員からは、「発注者さん」や「メーカーさん」などの答えが返ってきますが、私は「確かにお金を支払ってくれているのはそういった方々かもしれないけど、自分たちの直接のお客さん、自分たちが喜びや幸せを与えなければならないのは、うちの社員じゃないですか。」と訴えています。社員をお客さんと思うことができれば、どんな電話がかかってきても邪険には対応できないはずだからです。
 
 このような気持ちで毎日の業務に携わっていると、いろんな仕事を覚えることはもちろん、部署を超えた連携ができ人脈も広がり、さらに多くの人に助けてもらえたり、逆に助けてあげられたりすることもできるようになりました。
 総務部にきてもうすぐ4年になろうとしておりますが、技術職では経験できなかったであろうことをいろいろさせていただき、電気の専門技術とはまた違ったスキルを身につけることができていることを実感します。
 しかしながら職業人としてはまだまだ半人前で、ロータリーが提唱する「職業奉仕」を実践するには程遠い感じもしますが、私が今できることを広い視野を持ってやり続けるしか前に進む方法はないのではないかと日々考えています。
 「私の職業奉仕」のテーマとは全くかけ離れてしまった感はありますが、長文にお付き合いいただきありがとうございました。